講師 遠藤良輔 (Ryosuke ENDO)


研究内容
バイオマス利活用型の持続的植物生産の確立に向け,メタン発酵などのバイオマス転換技術と植物の生長との相互作用について,実験計測を通じて解析を行っています.また,植物の構造・機能と環境との関係について,画像情報などを活用した対話型の計測・制御手法を研究しています.

主な担当科目
循環型社会システム論,緑地環境科学実習演習

 


研究テーマ

農産廃棄物を対象としたメタン発酵ADsystem4
農業では,収穫までに非可食部や加工残渣などの廃棄部位が大量に発生します。バイオマス転換技術の一つであるメタン発酵を行うと,これらの有機性廃棄物を微生物によって分解し,エネルギーおよび液体肥料を回収することができます。現在,投入材料の形状の違いや異なる材料の混合発酵がメタン発酵特性に及ぼす影響について研究しています。

 

 

メタン発酵消化液を用いた低炭素・持続的植物生産システムの開発Lettuce
メタン発酵の消化液は植物に必要な無機養分を豊富に含んでおり,良質な液体肥料となりうるものの,化学肥料に比べると品質や安定性の点でまだまだ劣ります。本テーマでは,植物の状態および液肥成分の計測を通して植物生産に最適な物理化学的環境条件を調べるとともに,無機肥料も活用して液肥の短所を補った,ハイブリッド肥料利用型の持続的植物生産システム構築を目指して研究を行っています。

<関連論文>
J. Exp. Bot. 58(4), 765–772, 2007年

 

植物細胞小器官レベルでの光合成活性の可視化LeafFlu3-D
葉緑体に含まれるクロロフィルからの蛍光を取得することで,光合成電子伝達等の光合成活性情報を得ることができます。本テーマでは,蛍光光学顕微鏡の画像から合焦部位を抽出して得た3−D画像に,光合成活性情報を加えた3−D光合成活性画像を作成し,葉緑体の位置と光合成活性の関係を調べています。

<関連論文>
J. Exp. Bot. 58(4), 765–772, 2007年

 

湖沼環境が微小藻類の光合成活性に及ぼす影響の画像解析Spirogyra
湖沼には多くの環境汚染物質が流入しており,微小藻類の生長に様々な影響を及ぼしています。クロロフィル蛍光画像計測技術を用いると,多様な種類・生長ステージにおける微小藻類の光合成活性の経時的・空間的変化を同時にモニタリングすることができます。

<関連論文>
Environ. Sci. Technol. 38, 4165-4168, 2004年Eco-Engineering, 14-1, 17-22, 2002年

 

湖沼植物からのバイオマスエネルギーおよび無機養分回収Azora
富栄養化が進んだ湖沼などでは,藻類や水草が異常繁殖して湖沼の緑地的機能が損なわれてしまうため,公園等では,藻類や水草が定期的に回収され廃棄されています。このように回収された藻類・水草をバイオマスとして利活用し,環境浄化・バイオエネルギー利用・有機的植物生産を成立させる手法について研究しています。