実験実習

生物環境学研究グループが提供している実験実習のメニューを紹介します(一部,現在実施しているメニューと異なるものがあります).実験テキストの内容をリンクまたは引用される際はご連絡下さい.

環境計測とトレーサビリティテキスト
物理環境を正しくモニタリングするにはどのようなことに気を付ければよいだろうか.例えば,温度計測について考えてみよう.温度計測にはガラス製温度計がよく用いられる。温度計の示す値は,ガラス棒内での液体の体積の変化を示しており,長さや重さのように,ある基準と直接比較しているのではない.それでは,目盛が指し示している値は何にもとづいて決められているのだろうか.また,この値は計測対象の温度を正確に表しているのだろうか.この実習では,温度計測をとおして,物理環境を正しく計測するための基本的な考え方を学習する.
1J1
植物の光合成能力の評価テキスト
植物と大気との間においてCO2や水蒸気などのガス成分は主に葉の気孔を介して交換されている.例えば,CO2は日中には大気から葉内へ輸送され,夜間では葉内から大気へ輸送される.水蒸気は蒸散によって葉内から大気へ輸送される.このような葉内と大気との間におけるガスのやりとりをガス交換といい,ガス交換は拡散現象によって行われる.植物による大気汚染ガスの浄化作用も主にこのガス交換によって行われる.この実習では,植物を入れた閉鎖容器内におけるガス濃度の変化を計測することで,植物のガス吸収機能を定量的に評価する.
closed chamber
植物の熱環境緩和機能の評価テキスト
緑地には熱環境を緩和する効果がある.熱環境を緩和するということはどういうことだろうか.そのときの熱とは何を指すのだろうか.その効果の仕組みを理解するには,植物とその周辺でどのように熱のやりとりが行われているかを考えると分かりやすい.ある系に加えられた熱がどのような形でどこへ伝えられたかを示すものを熱収支といい,熱収支を明らかにすることはその系における熱環境を理解する大きな手助けになる.この実習では,ある通気システムに植物を入れて,微気象計測を通してシステム内での熱のやりとりを計測することで,植物の蒸散による熱環境緩和効果を評価する.
1J4
光による植物成長の制御テキスト
植物にとって光環境はもっとも重要な環境要素のひとつである.緑色植物は光合成を行い,光エネルギーを使って炭素同化を行うことで成長している.光環境が植物におよぼす影響は2つに大きく分類される.ひとつは量的な影響,もうひとつは質的な影響である。前者は主に光合成速度,ひいては植物の量的な成長への影響であり,後者は主に植物の発芽や開花,発根などの形態形成への影響である.この実習では,光が植物におよぼす量的・質的影響を,植物育成実験と光合成計測を通じて調べる.
2J2
閉鎖系における環境制御とエネルギー収支テキスト
私たちは日常生活の多くの時間を室内で過ごしている.日本のほとんどの地域では,屋外が快適である期間は限られており,私たちがより快適に生活するためには室内の環境を適切に制御しなければならない.この実習では,居住環境をモニタリング・制御するために必要な空気調和の基礎を学習するとともに,居住空間における熱エネルギー収支の考え方をモデル的な実験を通して理解する.
2J4
湿面の蒸発速度および水蒸気拡散抵抗の計測テキスト
開放式チャンバー内に湿らせたペーパータオルを入れて,チャンバー内の水蒸気の収支から蒸発速度を求めます.さらに計測値にもとづいて湿面上の水蒸気拡散抵抗を算定する.このシステムでの測定原理はポロメータでの気孔抵抗の計測とほぼおなじでなので,この実験結果について考察することは,開放式チャンバー法による植物のガス交換計測の原理を理解するのに役立つ.
3J6
開放式チャンバー法による植物のガス吸収速度の計測テキスト
これまでの実習では閉鎖式チャンバー法を用いてきたが,ここでは高精度の赤外線式ガス分析計を活用して,開放式チャンバー法による光合成測定を行う.
3J7